みなさん、はじめまして。
わたしはソフトコムで、デザイナー&ディレクターをしているイリエです。

ソフトコムはシステムの会社。
そう思われている方も多いかもしれませんが、実はデザインにも力を入れている会社なんです。

それから、なかなか画期的な働き方を推奨している会社でもあります。

たとえば、お父さんの育休。
育休のあと、子どもの成長を見守りながら、家で仕事をされる方もいます。
都会を離れて淡路島で仕事をされている方もいます。

かくいう私は、週の半分、桜ノ宮にある活版印刷所でデザインをしています。

活版印刷って、ご存知ですか?

みなさんは、活版印刷ってご存知でしょうか?

パッケージや、本の表紙、ショップカードなどで、紙の凹んでいる部分に色が入っているものをみたことがある方も多いと思います。

あれが活版印刷です。

活版印刷は、凸の版を使い圧をかけて紙にインクを転写する金属のハンコやスタンプのような原始的な印刷方法です。
15世紀にドイツのグーテンベルグが発明しました。
そして、活版印刷は、羅針盤、火薬とともに、ルネッサンス期の世界三大発明とも言われています。
(ちなみに4大発明は、そこに紙が加わります。)

デザインやディレクションをしているとき、この商品(あるいはこの会社)のよいところを伝えられる素敵なデザインにしよう。
ユーザーさまに愛されるデザインにしたい!という気持ちを込めています。

このデザインにどんな意味を込めて、どんなメッセージを伝えよう?
そのためには、どんなテイストのデザインが合うかな?
それには、どんな色味がよいのだろうか?どんなフォントを使おうか?空き間隔はどうしよう?

紙媒体のデザインでは、もうひとつ、質感もとても大切です。
目で見るだけでなく、指先から伝わる感覚。
デザインと質感の調和が生まれたとき、私はそこに息吹を感じます。
質感や温度感を伝えるために大切なのは、紙と印刷方法です。

活版印刷所では、さまざまなデザインをさまざまな紙に印刷します。
私がいる桜ノ宮活版倉庫では一点一点の印刷をオーダーメイドとして捉え、刷り上げています。

活版印刷は、前述のように、凸の版を使い圧をかけるものなので、通常では見ることのないような分厚い紙を見ることもできます。
最も分厚い紙で2.24mmの紙に印刷したこともあったようです!(コピー機の紙の厚みは0.1mmです。)

活版印刷機を使った印刷

活版印刷機で印刷するというのは、コピー機やオンデマンド印刷とはまったく異なります。
人が頭を使い、手を動かすアナログな世界です。
機械によって性質も違い、日によって機嫌も変わるようです。
機械なのに、まるで生き物のようなのです。

私がいる桜ノ宮活版倉庫ではドイツのハイデルベルグ製の「プラテン」という名前の機械を使っています。
「プラテン」は別名「windmill(風車)」と言われています

プラテンにはインキ壷があり、その中にインキを流し込みます。
ただ流し込むのではなく、8段階にインクの量を調整するレバーがあり、インキを流し込む量は印刷ごとに、職人が状態を見て決めます。
例えば、夏はインキが柔らかいので「3」の量に、冬はインキが硬くなるので「8」の量にしようというふうに。
けれど調整は、季節だけで決めるものではありません。
版とインクと紙質、そして気候などさまざまな条件を加味し、職人は最高の印刷になるように骨身を惜しみません。

作業をみていて私が感心したことの一つに、流し込んだインキを紙面上で均一な色味になるよう調整する作業です。
職人は、12個のしぼりを使い、インキの量を絞ったり増やしたりしながら調整を繰り返します。
そうすることで印刷する際の濃度はようやく揃います。

それから両面印刷の表面と裏面をピッタリと合わせることも相当な技術を要します。
ぽってりと厚みのある重厚な紙は、光にすかしても裏面を見ることはできません。
職人たちは表と裏があっているかどうかを、カッターナイフや針を使い、紙に刺すことで確認します。
そして、0.1mm単位で両面が合うよう何度も調整します。

たくさんの思いと技術が集まってできた完成品から、私はぬくもりを感じます。

それは、webのデザインも同じです。
会社の思い、こだわり。製品にかける開発者の思い。それをつなぐコピーライト、デザイン、印刷の職人、コーディング。
たくさんの人たちの気持ちが、ユーザーに届くモノを作り上げている…と日々、感じます。

テクノロジーと親和性の高い会社にいながら、アナログなことをしている場所に身を置くことで、両方の良い部分、助け合って伸びていく部分がより強く見えます。そして、もっともっと良いものを作っていきたいと思うのです。

お知らせ

さて、今回はdxでありながら、少し毛色の違うコラムになったかな?と思っています。
もしも、もっと活版印刷を知りたい!と思った方がいましたら、こんなものがあります。

活版印刷を学べる学校

西日本最大級の活版印刷イベント

それから、私ごとですが、南森町にある「ギャラリー百」で、11月18日(土)〜始まるカレンダー展に、同僚のふかやさんと「どんまい」というユニットで出展します。私たち以外にもたくさんのアーティストさんが、さまざまなカレンダーを作成しています。こちらも、もしよろしければのぞいていただければ嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
紙にこだわったデザインにしたい!活版印刷を使用したデザインにしたい!
ホームページと紙媒体、どちらもこだわって作りたい!
そんな方は、ぜひソフトコムにご連絡ください。
一緒に素敵なデザインを作っていけたら嬉しいです。